緑のなかにいると子どもの自分が癒される。

身体の内に風景がある。

足の裏で感じた苔の感触、

里山の川の音、気温、気象、

公園で読んだ小説の言語から視覚へと変換されたイメージと、木々のざわめきの聴覚刺激が起こす音と時間の視覚イメージ。

それらが身体感覚を通して、内側に物語の可能性を豊潤に含んだ風景をつくる。

脳裏に浮かぶその世界と同じ大きさのイメージを、風も音もともにありながらイメージを立ち上げるように描く。背中の痛みは翼が生えるイメージに変換され、ときにはマレットで奏でながら。

キャンバスはそれを覗く窓である。

公園や街路樹など身近な植物をモチーフに描くことの分野で活躍する。

何にでも描く、何を使っても描く。ジャンルを超えても小林広恵の作品であること。現代美術は発明である。決して背伸びでも飛び道具でもなくて、今ある技術で今あるもので、やり方とかシステムとか違う使い方や視点をずらすことによって生まれる発明である。自分のコンセプトからは、ずれずに、やりやすいやり方を目指し、より明確に伝えられる。そんな自分の言葉で語る発明である。その発明に「木漏れ日ひろい」シリーズと「BeatWorks」がある。他に水彩、陶器に絵付けなど様々な媒体に描く。最近の油彩は木の小口や様々なカタチに切り出した木材に描いている。

いしつむメンバー。
メールアドレス kobanoatorie@gmail.com